暦年贈与と相続時精算課税
贈与税の課税の仕組みには、暦年贈与と相続時精算課税の2種類が選択できます。
暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの一年間(暦年)に110万円(基礎控除額)以下の贈与なら贈与税の申告が不要という制度です。
しかし、110万円を超える場合には、贈与税の申告を翌年2月1日から3月15日までの間にしなければなりません。
その際、その110万円を超える部分には、贈与税が課される、いわゆる「普通の贈与」又は「一般的な贈与」の制度です。
相続時精算課税とは65歳以上の両親から20歳以上の子への贈与(住宅取得資金の場合については「65歳以上の両親」の制限なし)は、2,500万円まで贈与税がかからなくなるというものです。
ただし、贈与者が死亡したときには、遺産にこの制度で受けた贈与財産の金額(贈与時の評価額)を加えた合計額で相続税を計算する必要があります。
つまり、相続税の節税ではありません。
この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときにその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額をベースに計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
高齢化の進展等を踏まえ、高齢者の保有する資産を次世代に円滑に移転させるという観点から、平成15年に創設された制度なのです。
尚、一度、相続時精算課税を選択した場合、暦年贈与に戻すことはできません。
そこで、暦年贈与と相続時精算課税は『どちらが得か?』ということです。
個々の計算が必要となりますが、おおまかな結論は、資産家の方には長期、分散型の暦年贈与が得、相続時精算課税がお勧めできるのは、原則、相続税のかからない方、例外的には確実に大きく値上がる資産と収益を生む資産の贈与といえます。
これ以外は慎重に!