相続と自社株の承継

①相続発生時の経営者財産の帰属

自社株①

準共有では遺産分割未了の状態である時等をあらわします。

つまり、相続人間に争いがある場合等、準共有が長引くと問題が生まれる恐れがあります。

自社株②

(例)  

  株式総数:100株

  父(経営者、被相続人):60株

  長男(後継者、相続人):40株

  他相続人は二男・三男

  ⇒会社法106条により、代表者が決定していない場合は多数決となります。

   そのため、相続発生後の60株が宙に浮いており、

   兄弟3人が同じ力をもつこととなってしまいます。

   その結果、二男・三男が共同し、議決権株式を行使することにより、

   長男が解任されてしまう等の可能性が生まれてしまいます。

 

 

②遺言の重要性

上の例や社外への株式の流出、望ましくない株主の出現を防止するため等、遺言により後継者に「相続させる」とすることが重要です。

ただし、「特別受益の持ち戻し」、「遺留分」の制度があるため、オールマイティに有効な手段ではありません。

尚、遺留分放棄もありますが、放棄する本人が自ら家庭裁判所に申立てをして許可を受けなければなりません。

放棄の同意したとしても、家庭裁判所による質疑応答等、心理的な抵抗も大きいといえます。

 

 

③後継者に遺留分減殺請求されても十分な資力を持たせる

後継者への生前贈与を株式ではなく現金でする、生命保険を活用し後継者に全額おりるようにする等の対策を取ります。

こうすることにより、遺留分減殺請求を受けたとしてもそれに対応できることとなります。

  

ただし、このような対策が現実的ではない場合、または、自社株を移転しておきたいというニーズの場合、経営承継円滑化法「民法特例」の適用を検討することをおすすめします。